ホーム田長谷森林自然公園ようこそ熊野の森へ

ようこそ熊野の森へ

ようこそ熊野の森へ

 ここ熊野は、山深き国です。4月から5月にかけては若葉のみどりが私達の目を楽しませてくれます。杉や檜の人工林が多くみられますが、その中でも天然林を代表する「カシ」や「シイ」などの照葉樹の若葉が目ぶく4月頃特に、美しい山の姿を見せてくれます。又この頃はみどりの葉だけでなく、山桜・モクレンの「白」や、ヤブツバキの「赤」の花々がみどりの中で美しいコントラストをかもし出しています。とりわけ天然林は、私たちの目と心を楽しませてくれているようです。

 では天然林の中に足を踏み入れてみることにしましょう。まず感じることは、清々しい空気です。囲りの木々がたくさんの空気(酸素)を私に与えてくれているように思います。昨今は森を歩いて森林浴を楽しむ人が増えていると聞きますが、幸いにも私はほとんど毎日森林浴をしています。

 少し上を見上げてみると、大きな大きな木が見えます。モミやツガの木です。年令(樹令)は、おそらく300年以上たっていると思います。幹まわりは、大人3人位でやっとまわせるほどですし、はだ(皮)は、波をうっているようにみえます。300年以上にわたって自然の風雪に耐えてきたあかしのようです。また所々に「スギ」や「ヒノキ」 の天然木も見えます。これらの木々 (モミ・ツガ・スギ・ヒノキ)は、この森の主であるかのように堂々とそびえ立って囲りを圧倒しています。

 今度はそれよりもう少し下に目を向けてみましょう。ここには、たくさんの種類の木がみえます。アラカシ、シラカシ、ウバメガシ、ヤブツバキ、サカキ、シキミ、ヒメシャラなどです。これらを総称して照葉樹といっているようですが、これがここ熊野の天然林の中心をなしている木々です。太陽からの光を葉で受け止めていますが、下からみるとそのやさしいこもれ日が一段と緑を引き立たせているように思います。この森を歩いていると本当に気分がよくなってきます。

 ではもっと下の自分の目線と同じくらいのところを見てみると、ここには 低い木のクロモジやアセビなどが少し遠慮がちに、しかし自分の位置をしっかり確保しながら立っています。 上の大木と中くらいの照葉樹と下の小さな木がそれぞれお互いを認め合いながら住みわけている様は、自然そのもののように思います。少し歩いてみると気が付きますが、足元が軽く感じると思うはずです。そうです、それは枯れ葉などが積もってスポンジ状態になっているからです。だから少々長く歩いても足は疲れません。森の中は足にもやさしい訳です。

 歩きながら下を注意して見てみると、あちこちに動物のフンが見えます。シカ、カモシカ、イノシシ、タヌキたちのフンです。これらをよく観察していると、この森にはどんな動物がたくさんいるかわかります。どうもフンの数からするとシカが一番多いように思います。時々、遠くでシカの鳴く声が聞こえてきます。動物も植物も共に生きていると感じられるはずです。

 どうでしょうか、ここ熊野の森は「自然豊かな森」 といえるのではないでしょうか。

 そしてこの森が私たち人間に大きな恩恵を与え続けてくれています。澄んだ空気や、きれいで豊かな水を頂いています。そして土砂崩れを防いでくれたりと、人間生活に多大な恩恵を与えています。だからこそ、私たち林業に携わる者は、出来る限り自然を大切にしたいと思います。大きな面積の皆伐は避けたいものです。

 熊野の森を歩くと、おそらく誰もがそんな思いになるのではないでしょうか。

 是非、熊野の森へたくさんの人に来ていただきたいものです。

 

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