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田長谷森林自然公園

ようこそ田長谷森林自然公園へ

田長谷森林自然公園~癒しの森~

癒しの森ともいわれる熊野へ

そして田長谷森林自然公園へ

本物の熊野の森を開放しています。沢山の方々の入山をお待ちしております。 




[田長谷森林自然公園の概要]

平成12年7月に開放してから、沢山の一般の方々を受入れてきました。
ここでは本来の熊野の森が体験できると思います。
1周で1時間程かかりますが、遊歩道を設置していますので、安全に歩くことができます。

森の中で一番目につくのは、樹齢200年を超えるモミやツガの大木、中には300年を超えるトガサワラの巨大木、そして森の主と思われる大きなトチノキなど、数多くの巨木たちが向かえてくれます。また、アラカシ、アカガシのカシ類、スダジイ、ツブラジイのシイ類、その他にもヤブツバキ、アセビ、ヤマザクラ、ヒメシャラなどの多種多様な植物が生息しています。自然豊かな森の中では、カミキリやゾウムシなどの昆虫も沢山生きづいています。

ぜひ、この森林自然公園を散策して、本物の熊野の森を体験して下さい。

沢山の方々の癒しの森への入山をお待ちしています。

また遊歩道にはクイズを設けています。全問正解者には景品を送付いたします。

入山の際には、ぜひチャレンジしてみて下さい!

鼻白の滝鼻白の滝

案内図とクイズ

公園入口のボックス内に案内図とクイズの問題が入っています。

クイズの解答はボックス内に戻してくださいね!

景品が当たるので、住所と名前とフリガナを忘れずに記入してください!!

解答用のえんぴつは各自でご持参ください!!


案内図


入口写真
【田長谷森林自然公園入口】ボックス内に案内図とクイズが入っています


大きな木写真
公園内の木です。大きな穴が・・・


出会うかも写真
運が良ければ出会えます。

位置図








田長谷をゆく

 国道一六八号線から田長谷林道に入り少し進むと、桜の花が出迎えてくれます。 (四月)道沿いには、ソメイヨシノが何本かならび、目を対岸に移すと、ピンクに近い山桜が点在して、ふか緑の中にポツポツとピンクの花がある様子が山を一段と美しくしているようです。

 それから一~二分進むと、右手に大きな滝が目に入ってきます。高さ八十六メートルのはなじろの滝です。滝全体がみえるところまで昇って、じっくりと眺めてみれば真白な二段の水が豪快に流れ落ちている堂々とした姿をみることができます。ここ田長谷は、中腹よりも下の方が傾斜がきびしく、そのせいか小さな滝が林道のすぐ横でも見られます。

 中腹から上に行くと、谷の流れは比較的ゆるやかになっていて、透明な水の中に映し出してくる色は、茶色がかった岩の色や岩床に生きるコケの緑色など様々な色を醸し出しています。

 林道の入り口から車で二十分ほど入ったところに森林公園入口の看板が目に入ってきます。ここは、田長谷天然林の代表的なところで一周一時間ほどの周遊コースが設けられています。

 車を止めて少し中に入ると、杉と桧の大木がまるで兄弟のように仲良く立っているのが見えてきます。その周りにはモミやツガの大木が平然と立ち並んでいます。一本一本が二百年~三百年の年齢を重ねてきた貴重な木生をもった命だと思うと感無量な心境になります。

 大昔の熊野の森を目の前に見ていると、この雄大な自然をいつまでも後世に残しておきたいという願いがしっかりと湧いて来ます。

 春(三月〜六月)の季節は紅白の花々が目を楽しませてくれる時です。ネムノキ、ヤマボウシ、ヤマツツジ、シャクナゲ、色々ありますが、中でもアケボノツツジの淡い赤色は特に可憐で美しく思えます。(アケボノツツジは林道最上部の標高八百メートル附近に点在。)また、植物だけでなく動物の宝庫でもあるようです。大型のものは鹿、カモシカ、猿がよく見られます。

 林道を走っていると、時々姿を現すのが鹿とカモシカです。その愛らしい目に出くわすと、とても嬉しい気分になるのですが、実は杉や桧、とりわけ桧の食害が近年たいへん激しくなっているのも事実です。また、林道脇の側溝の水たまりをよく見てみると、イモリや山椒魚を見ることもできます。他にトンボや蝶も季節には乱舞しています。とにかく道をゆっくりと走って、まわりに目をはらせば色々な動植物に出会うことは間違いありせん。

 ここ田長谷は生き物の宝庫のようで、本当にすばらしい自然環境を保っていることは確かなようです。

 車を止めて少し林道 を歩いてみます。今度は目を上にめぐらすと、様々な木々の葉模様が目に入ってきます。中でもヤマモミジとネムノキの幾何学的な葉模様が面白いと思います。大葉をもつ木も雄大で魅せられます。トチノキやホウノキがよく見られますが、近頃ではトチノキは珍しく、特に大木はほとんど見 ることができなくなっているようです。五月の雨上がりには、ここでよく見られるシキミの葉が、林道脇で光り輝いて見えます。

 ここ田長谷は、天然林もたくさん残っていますが、中腹から上部は比較的人工林が多いところです。普通人工林では杉や桧の一斉林で下層木も少なく、単純な林が多いように思いますが、ここでは少し様子が違っています。 手入れがされているせいか、よく光が林の中に入っているようで、山に入ると明るく、木の下には広葉樹がよく育っているのがわかります。足元を見ると、スギゴケが幾重に一面を覆っていて、歩くとフワフワとした気持ちで、雲の上を歩いているようです。もっと上部では、百年あまりの杉林が林立していますが、もちろんこれらの森でも三十メートルを超える杉木の下層は広葉樹がよく入っています。

 六月頃最上部まで走ると、とりわけ美しい森が見えてきます。百二十年の杉大木の下には、びっしりと山アジサイが美しい花を咲かせて、まるで花畑のようです。

 とにかく田長谷は四季折々、美しい姿を見せてくれます。

 いつまでも残しておきたい熊野を代表する森です。

田長谷の植物・1

 田長谷で見られるツツジ科・ツツジ属(Rhododendron)の植物
 
 前回、熊野林業第8号では「熊野地方の植物相」と題して熊野地方の植生や植物相について概略を述べさせていただきました。熊野地方は他に例を見ないほど植物の豊富なところです。その代表的な場所の1つに田長谷から白見山、さらに大雲取山へと続く900mの稜線があります。豊富な降水量と複雑な地形に恵まれたこの地域には多種多様な植物が生育しています。まだまだ調査不足で、全体は把握できていませんが、ツツジ科ツツジ属の植物から紹介していきたいと思います。ツツジ科の植物は矮小な低木から小高木まで、すべて木本です。日当たりのよい岩地や風当たりの強い場所を好んで生えるものが多く、酸性土壌を好む傾向もあります。日本には約22属108種が分布し、ツツジ属は最大の属で52種が知られています。田長谷周辺で見られるのは次の8種です。

 ヒカゲツツジ

 関東以西の本州と四国、九州に分布する常緑低木で、高さは1~2m、川岸の岩壁や岩尾根などに生えます。葉は互生して枝の先端に集まってつき、幅約1.5cm、長さ約7cmの長だ円形で薄い革質をしています。4月の中頃葉の展開とほぼ同時に枝の先に2~6個の花を咲かせます。花の色はツツジでは珍しく淡い黄色で、上側の花弁には緑色の斑点があります。田長谷では4月初旬、鼻白の滝周辺から咲き始め、中旬には中腹の林道沿い、下旬から5月の初めにかけては尾根筋で見ることができます

 バイカツツジ

 北海道南部から本州、四国、九州の広い範囲に分布する落葉低木で、山地の林縁に生育して高さは2mほどになるが、あまり目立たないツツジです。7月初旬、花は枝の先端にある葉の下に隠れるように咲きます。直径2cm程の小さな花で、花弁は白色で反り返るように開き、上側に紅紫色の斑紋があります。ツツジの仲間では例外的に半日陰を好み、田長谷でも森林自然公園入り口から少し登った林道沿いで見ることができます。名前の由来は小輪で清楚な花をウメの花に見立ててつけられたものです

 モチツツジ

 静岡県から岡山県までの本州と四国に分布する半常緑低木で、高さは1~2m、低山や丘陵地の林縁や道ばたに生育しています。熊野地方ではごくふつうに見られるツツジですが、全国的には分布域が狭く近畿地方が分布の中心です。植物体全体に毛が多く、特に花柄やがく片には腺毛が密生して粘り、虫がくっつけられるほど強い粘りです。モチツツジの名前もこのように鳥モチのように粘ることから、つけられています。他のツツジと比べて花柄やがく片が長いのも特徴で、2cm以上になるものもあります。花は淡紅紫色、直径5~6cmの漏斗状で葉の展開と同時に枝先に2~3個つけます。花の最盛期は4月中旬ですが、暖かい熊野地方では真冬に花を咲かせているのを見かけることがあります。田長谷でも麓から尾根まで林道沿いの随所で見ることができます。また、モチツツジは他のツツジと雑種をつくりやすく、田長谷林道の中腹付近でウンゼンツツジとの雑種と思われる花の小さいモチツツジを見かけることがあります。

 ウンゼンツツジ

 温暖で雨の多い伊豆半島から紀伊半島、四国東南部さらに九州南部(大隅半島)の林縁や岩地に生育する半常緑の低木です。おそらく熊野地方が分布の中心と思われ、熊野酸性岩の分布する古座川周辺から那智山系、大雲・白見山系、子の泊山、妙見山を経て、尾鷲市にかけての山地に特に多く見られます。
 ウンゼンツツジは熊野地方ではコメツツジ(米ツツジ)の愛称で親しまれてきたツツジです。今でもコメツブツツジとかコメツツジとか呼ぶ人は少なくありません。葉が小さくせいぜい1cmほどの米粒大であることから、そう呼ばれているものと思われます。しかしながら現在ではコメツツジの名は温帯上部の1500m以上に生育する全く別のツツジに与えられ、熊野地方で見ることはできません。
 ウンゼンツツジのウンゼンは長崎県の雲仙岳を指しますが、ウンゼンツツジは雲仙岳には分布していません。ウンゼンツツジは江戸末期にはコメツツジと呼ばれていましたが、明治の中期にウンゼンツツジの名に入れかわり、雲仙岳のものはミヤマキリシマと呼ばれるようになったそうです。ウンゼンツツジをコメツツジと呼ぶのは、まったく根拠の無いことでもないのです
 葉が小さく、刈り込むと多くの細い枝を出し、形を整えやすいところから、盆栽の愛好家に好まれブームの頃には盗掘が耐えませんでした。
 花は他のツツジ類と違って、1つの花芽から1つの花を開きこの点はサツキと同じです。花の色は薄いピンクから紫に近い濃いピンクまで変化に富んでいます。田長谷林道脇でも、4月下旬山麓から咲き始め、5月中旬にかけて花の最盛期を迎えます。

 ヤマツツジ

 北海道南部から本州、四国、九州に分布する半常緑低木で、高さは1~3m、山地や丘陵の林内、林縁や草地に生育します。野生のツツジでは分布域が広く、日本人にもっとも親しまれているツツジです。ヤマツツジは花の色が朱色であることや、雄しべの数が5本であることなどから川岸に咲くサツキとよく混同されます。ヤマツツジは1つの花芽から2~3個の花をつけることや、葉の展開と同時に花が咲くため花期は4月であること、さらに、春に出る春葉のほうが夏にでる夏葉より大きいことなどの特徴があります。これに対してサツキは1つの花芽につく花は1個で、新葉が伸びたあとに花が開くので開花時期はツツジより遅く5月であり、また春葉と夏葉の大きさに差がなく、葉の表面には光沢があることなどで見分けがつきます。ただ同じヤマツツジでも山麓に育つヤマツツジは葉の展開がやや早く、新緑の春葉の中に朱色の花を咲かせます。これに対して尾根付近のヤマツツジは前年の夏葉が僅かに残った枝先に花をつけるので、朱色の花が鮮やかでよく目立ちます。田長谷ではこれら2つのタイプのヤマツツジを見ることができます。

 トサノミツバツツジ

 名前のとおり葉が枝先に3枚輪生するツツジの仲間で、熊野地方ではトサノミツバツツジの他コバノミツバツツジ、オンツツジの3種が分布しています。このうちコバノミツバツツジは白浜町など西牟婁地方では多く見られますが、熊野地方では少なく熊野川町宮井付近でわずかに見られるだけです。またオンツツジは海岸に近い疎林に生え、4月中旬から下旬にかけて、葉の展開と同時に朱赤色の花を咲かせます。
 ミツバツツジの仲間は子房や花柄に腺点があって粘るか、長毛のみで腺点がなく粘らない、の2つのグループがあり、トサノミツバツツジは前者に、コバノミツバツツジやオンツツジは後者に属します。ミツバツツジの変種とされるトサノミツバツツジとの違いは雄しべの数で、ミツバツツジが5本であるのと、子房は腺点のみが密生するのに対し、トサノミツバツツジでは10本で、子房には腺点の他白毛が混じります。ところが熊野地方で見られるミツバツツジはこれらの中間型が多く、雄しべの数も6~10本と様々です。これはミツバツツジ分布域が東海地方で、トサノミツバツツジの分布の中心が四国であり、紀伊半島南部はその中間にあたるためと思われます。トサノミツバツツジの開花時期は早く、海岸部では3月の中旬から咲き始め、田長谷でも4月初めから徐々に上部の尾根に向かって咲き出します。葉が展開する前、よく分岐した多くの枝先に2~3個の紅紫色の花を咲かせるため、遠くからでもよく目立ちます。トサノミツバツツジは早咲きのヤマザクラとともに熊野地方に春を告げる花といえます。

 アケボノツツジ

 紀伊半島と四国に分布する落葉小高木で樹高は3~6mに達し、ツツジの類では大型のものです。近縁のものには福島県から三重県御在所岳に分布するアカヤシオや九州に分布するツクシアケボノツツジがあります。いずれも雄しべが10本で、上の5本は短く下の5本が長いのは共通ですが、アカヤシオの雄しべの基部には10本すべてに軟毛があるのに対して、アケボノツツジでは短い5本の基部にのみ軟毛があり、ツクシアケボノツツジは10本すべてが無毛、という違いがあります。アケボノツツジは紀伊半島では標高900m以上の岩の多い斜面や尾根の崖地に生育しています。4月末から5月初め頃、枝先に直径約5cm、杯形で広く開く淡紅紫色の花を1~2個付けます。多くの枝を出すことや葉が展開する前に花を咲かせるため、木全体を花が覆って見応えがあります。また、他の樹木が育ちにくい岩場に生育するため、群生することが多く山がピンクに染まります。
 熊野地方でアケボノツツジを見るためには、大塔山、法師山、烏帽子山などで2~4時間山登りをしてやっと出会えるのがふつうです。ところが田長谷では林道が整備されたおかげで、車を降りて10分程ですばらしい光景に出会えるのです。

 ホンシャクナゲ 

 新潟県以西の本州と四国に分布する常緑低木で、樹高は2~6m、幹の直径は大きいもので10~15cmになります。葉は幅約3cm、長さ約15cm、長だ円形で革質で厚く、表面は濃い緑色で光沢があり、裏面は褐色の軟毛が一面に生え薄茶色をしています。また葉は互生して枝先に集まってつき、その先に丸く大きな花芽ができます。そして5月中旬、この花芽から紅紫色~淡紅紫色の花を横向きに多数咲かせます。1つの花の直径は約5cmの漏斗状で7裂し、雄しべは14本あって基部や子房には毛が密生しています。母種のツクシシャクナゲとは葉の裏にある褐色の軟毛の多さや、雄しべの基部にある毛の違いで分けられます。ふつうは標高500m以上の痩せ尾根や岩場に生え、ヒノキとともに生育していることが多く、ヒノキ―シャクナゲ群集と呼ばれ、田長谷でも随所でこの群落を見ることができます。

田長谷の植物・2

 熊野林業第11号では、田長谷で見られるツツジ科・ツツジ属の植物を紹介してきました。今号ではアジサイ科の植物について、紹介したいと思います。アジサイは日本人にとって最もなじみ深い植物の1つです。以前はアジサイはユキノシタ科アジサイ属の植物と分類されてきました。しかし、1980年代になってクロンキストの分類体系が採用されるようになり、草本の属のものをユキノシタ科、木本の属をアジサイ科の2つの科に分けてあつかうようになりました。

 アジサイ科のアジサイ属、イワガラミ属、バイカアマチャ属の植物は、花序のまわりにがく片が花弁状に変化した装飾花をつけるのが特徴です。園芸植物としてのアジサイは赤や青色の装飾花をつけ、色鮮やかです。しかし、野生のアジサイ属の装飾花はヤマアジサイを除いてすべて白色で、決して派手ではありません。

 田長谷に自生しているアジサイ属、イワガラミ属、バイカアマチャ属の植物9種について紹介したいと思います

 ヤマアジサイ

 北海道から九州までの山間の谷間や林床に広く分布し、朝鮮半島南部にも自生しています。高さ1~2mの落葉低木です。葉は楕円形または卵形で長さ10~15cm、幅5~10cm、先は長く尖ります。6月初旬、枝先に直径5~10cmの花序をつけ、両性花のまわりを装飾花がとりかこみます。装飾花は直径1.5~3cm、がく片は3~4個、楕円形から円形、色は淡青色でときに淡い紅色をおびることがあります。両性花も装飾花と同じように色の変化に富んでいます。うっとうしい梅雨の時期の山道をぱっと明るく見せてくれる野趣豊かな花です。変種のアマチャは本州中部に分布し、甘茶の成分フィロズルチン配糖体の含量が多いとされます。しかし、実際の甘茶にはアマチャの葉だけでなくヤマアジサイの葉も含まれているそうです。田長谷では以前は林道沿いの杉林の林床や谷沿いで一面に見られたヤマアジサイがここ数年少なくなったように思えます。シカの食害にあっているのかもしれません。



 ガクウツギ

 山地の沢沿いの斜面や林縁に生える落葉低木で、高さは1~1.5mになります。関東地方以西の本州と四国、九州に分布する日本固有種ですが、伊豆半島と中国地方ではまだ見つかっていません。葉の表面は濃緑色で独特の青みをおびた光沢があることから、コンテリギとも呼ばれています。5月初め、枝先に直径8~10cmの花序をつけます。装飾花は直径2~3cm、白色のがく片は3個で大きさはふぞろいです。両性花は大きさが5mmほどで色は黄色です。田長谷では鼻白の滝前後の林道沿いで多く見られます。

 

コガクウツギ

 明るい丘陵や低山の林縁に比較的普通に見られる小低木で高さは1~1.5mになります。ガクウツギに似ていますが、葉がやや小さいこと、葉縁の鋸歯が大きいこと、若枝が紅紫色を帯びることなどで見分けられます。花はガクウツギより少し遅れて5月中旬頃、枝先に直径4~8cmの花序をつけます。1つの花序につく装飾花の数は少なく1~3個で、両性花だけの花序もあります。装飾花は直径1.5~2.5cm、がく片は3個、白色で大きさはふぞろいです。両性花は大きさが8mmほどで色は黄色です。田長谷では林道沿いのやや乾いた斜面で多く見られます

 コガクウツギの長く伸びた枝からは良質で白色の髄がとれ、古くは灯心に用いられ、トウシンギなどの方言名でも呼ばれています。

 

コアジサイ

 関東地方以西の本州と四国、九州の山地の林縁や、明るい林中に見られます。高さが1~1.5mの落葉小低木で、他のアジサイの仲間と違って装飾花がないのが特徴です。葉は草質で明るい淡緑色、縁には規則的な粗い鋸歯があります。6月初旬、枝先に直径5cmほどの花序をつけます。花はすべて両性花で直径葯4mm、花弁は5枚で白色から淡青色、雌しべは2~4本、雄しべは10本で花弁より長く、青色を帯びるので花全体がきれいな淡い青色に見えます。幹の下部で分岐し、多くの枝を出すところから、シバアジサイの別名があります。

 

ノリウツギ

 北海道から九州まで広く分布する落葉低木~小高木で、高さは2~5mになります。本州中部以北では日当たりの良い森林の伐採跡地や溶岩台地などに、いち早く進出するパイオニア植物の一つとされています。葉は対生または3輪生し、長さ5~15cm、幅3~8cmで先はやや尖ります。7~8月、枝先に長さ8~30cmの円錐状の花序をつけます。装飾花は白色で、がく片は3~5個、長さ1~2cmの円形~長楕円形をしています。両性花も白色なのでよく目立ちます。田長谷では林道沿いや川沿いの明るい場所で多く見られます。

 材は白色で堅く、楊枝やステッキ、傘の柄、かんじきの爪などに加工されてきました。また、根材からはサビタパイプとよばれるパイプがつくられたそうです。枝を水に浸して内皮からぬめりのある粘液をとり、和紙をすくときの糊料に用いたのでこの名がついたとい言われています。


 ヤハズアジサイ

 紀伊半島、四国、九州の深山にやや希に見られる落葉低木で、高さは1~3mほどになります。葉は長さ12~25cm、幅7~20cmの広楕円形で大きく、先のほうで3~7個の浅い裂片に分かれます。この葉の先端の切れ込み方を矢筈に見立てて和名がつけられました。7月末、枝先に直径20~25cmの花序をつけます。装飾花は緑白色でがく片は4個、長さは1cmほどで少なく、花序のまわりにまばらにつきます。両性花は白色で多数つきます。田長谷でも標高900mに近いスギ林でわずかに見られるだけです。

 植物地理学上、九州(襲)、四国(速)、紀伊半島(紀)に共通して分布する植物を襲速紀(そはやき)要素といいますが、ヤハズアジサイはその襲速紀要素の植物の代表といえます。


 ツルアジサイ

 北海道から九州、朝鮮半島南部に分布するつる性の落葉木本で、幹や枝から気根を出して樹木や岩をはい上がり、高さは10~20mに達します。幹は淡褐色で、樹皮は縦にうすくはがれます。葉の大きさや形には変化があり、樹幹をはい上がる枝の葉は一般に大きく、卵形で長さ5~12cmになり、林内をはう枝の葉は円形で、長さが数cmと小さくなります。6月中旬、枝先に直径10~20cmの花序をつけます。両性花のまわりを3~7個の白装飾花がとり囲みます。装飾花は白色でがく片は3~4個です。両性花は黄白色で、雌しべは2本ですが、雄しべの数が15~20本と他のアジサイ属と比べて多いのが特徴です


 イワガラミ
(イワガラミ属)

 北海道、本州、四国、九州と朝鮮半島に分布するつる性の落葉木本で、ツルアジサイと同じように、幹や枝から気根を出して樹木や岩をはい上がり、高さは7~10mに達します。山地の林縁や岩場などやや明るい場所を好んで生えています。6月初旬、その年に伸びた新しい枝の先に大きくてやや平たい花序をだします。花序の直径は10~20cm、両性花のまわりに10数個の装飾花がつきます。装飾花は1個のがく片で長さ3cm、幅2cmの広卵形で大きく白色でよく目立ちます。ツルアジサイとは花の時期以外で区別するのは困難です。しかし、花が咲くとイワガラミの装飾花のがく片が1個であることで、容易に見分けることができます。また、ツルアジサイの葉の鋸歯は細かくて、片側だけで30個以上あるのに対して、イワガラミの鋸歯は粗くて、片側だけで20個以下であることも、区別点の1つです。さらに、アジサイ属の雌しべが2~4本であるのに対して、イワガラミ属では1本であるのが最大の相違点です。



 バイカアマチャ
(バイカアマチャ属)

 東海地方、紀伊半島、四国、九州に分布する落葉低木で、高さは1mほどになります。葉がアマチャに似ていることや、甘茶の代用品として用いられたことと、花がウメの花を思わせることからこの名があるとされます。7月末、枝先に白色の装飾花と両性花をまばらにつけます。装飾花のがく片は合着して皿状で、網状の脈が目立ちます。両性花の花弁は4枚で白色で厚く、雄しべは多数で葯は黄色、雌しべは2本で雄しべより長くなります。また、装飾花のがく片は秋、葉が落ちたあとでも残るのがこの木の特徴で、葉の無くなった冬場でもこの木を見分けることができます。

 

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